■一般部門
最優秀賞
農業と福祉の拠点「あるきだす」
設計者:
木村 敏 (b.i.n木村敏建築設計事務所)
川端 眞 (川端建築計画)
夏見 諭 (株式会社 夏見工務店)
審査講評
審査委員 倉方 俊輔
滋賀県の農村集落において、増加する空き家を活用し、 農業と福祉を結びつけた拠点を生み出した本作は、建築の社会的役割を体現する優れた実践として高く評価される。NPO法人が主体となり、障害者就労支援と地域農業の再生を同時に担うプログラムは独創的であり、建物の改修はその理念と深く連動している。所有者への「住まいの記憶史調査」を起点に、1970年代の農家の姿をモデルとして改修方針を定めたプロセスは、単なる古民家再生にとどまらず、地域の記憶と文化の継承を建築行為として昇華させている。既存の樹木や石を活かした配置計画、 耐震・断熱性能の強化と民家の美しさとの両立、さらに 「次の誰かへ手渡す」という長期的視点に基づく設計姿勢も特筆に値する。完成から2年を経て、農業・福祉・観光・地域交流の場として地域に溶け込み、人々が集う拠点として機能していることは、建築の真の完成を示している。滋賀県らしい建築的な解答であると同時に、全国の手本となるものとして、一般部門最優秀賞にふさわしい。
所在地:栗東市荒張
用 途:農家住宅
竣 工:2021年7月
延べ面積:248.48㎡
構造規模:木造 2階建
施 工 者 :株式会社 夏見工務店
優秀賞
立命館大学
先端クロスバースイノベーションコモンズ/グラスルーツイノベーションセンター
設計者:
岩崎 宏 (株式会社 竹中工務店)
成田 康輔 (株式会社 竹中工務店)
津田 加奈子(株式会社 竹中工務店)
審査講評
審査委員 宗像 幸夫
開設30周年を迎えた立命館大学びわこ・くさつキャンパスに建設された立命館先端クロスバースイノベーションコモンズ/グラスルーツイノベーションセンターは、 メインストリート沿いの正門から中央広場へ向かう中間地点に位置しています。建物は大きな軒下空間で訪れる人々を温かく迎え入れ、メインストリートに対して45度傾けて配置されたヒダ状の雁行空間を形成。なだらかな高低差のある地形と呼応しながら、立体的な居場所が新たな人の流れや滞留の場を作り出しています。内外装には素地系素材と周囲環境を柔らかく映し出す反射系素材が使用され、木漏れ日のスクリーンが設けられた心地よいラウンジ空間も特徴的です。この施設は、多様な分野の研究者や産業界が連携し、先端技術や革新的アイデアの創出を促進。オープンな交流空間や最新設備を備え、学術研究と実社会をつなぎ、地域社会や課題解決に貢献する拠点として期待されています。
所在地:草津市野路東
用 途:大学(研究施設)
竣 工:2025年5月
延べ面積:4,246.00㎡
構造規模:鉄骨造 2階建
施 工 者 :株式会社 竹中工務店
特別賞
柏原駅前広場シェルター
設計者:
島田 廣巳 (一級建築士事務所 株式会社 匠工房)
審査講評
審査委員 轟 慎一
中山道の宿場町・柏原宿に程近い柏原駅前に、まちの玄関口として創りあげたのが「柏原駅前シェルター」で ある。シェルターの庇は街道沿いの町家の軒下の肘木・ せいがい桁を意匠に取り入れ、瓦葺をイメージする黒の陶板を外壁に用いるなど、まちの顔にふさわしい端麗なファサードとなっている。格子・垂木などの木材は、柏原の区有林から選木して伐り出され、その跡地には保育園児たちによって苗木が植樹された。市で修景事業が決まり、地元の活性化実行委員会に設計者も参画してきたことで、いろいろな想いが織り込まれたプロジェクトとなった。歴史・文化や景観・環境など地域のコンテクストを今日的価値の中でデザインに昇華しており、また住民・行政・企業ほか様々な人々と設計者が多様な連携をはかりながら調査や計画づくり、材料や施工など「まちの場所づくりのプロセス」を大事に取り組んでこられ、「地域デザインとしての建築」がびわ湖建築賞として評価された。
所在地:米原市柏原
用 途:
竣 工:2024年3月
延べ面積:2.67㎡
構造規模:鉄骨造 平屋建
施 工 者 :長住建設 株式会社
入賞
琵琶湖汽船今津営業所
設計者:
宮村 太 (宮村太設計工房)
所在地:高島市今津町
用 途:旅客待合所
竣 工:2020年3月
延べ面積:88.98㎡
構造規模:木造一部鉄骨造 平屋建
施 工 者 :株式会社 坂田工務店
入賞
みなくるプラザ
(水口西部コミュニティセンター)
設計者:
澤田 耕一 (株式会社 日匠設計)
岡田 陽介 (甲賀市建設部住宅建築課)
所在地:甲賀市水口町
用 途:近隣住民を対象とした公民館
(集会所・コミュニティセンター)
竣 工:2025年2月
延べ面積:1,280.30㎡
構造規模:木造(在来軸組工法)
一部鉄骨造 2階建
施 工 者 :桑原組・西本建設
特定建設工事共同企業体